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忍者のスタイル

忍者のイメージの中でもっとも強く印象に残るのは、その姿です。頭巾ですっぽりと顔を覆い目元のみを晒し、刃物を通さない鎖帷子に動きやすく目立ちにくい忍び装束を身にまとい、丈夫な足袋と脚絆で足元を固め手甲を装着した忍者の姿は、印象に強く残ります。

忍者のスタイルの秘密

忍者の一般的なスタイルである「頭巾に忍び装束」姿には一体どのような利点が秘められているのでしょうか?

夜に溶け込みやすい色合い

忍者が身に付ける頭巾と忍び装束は、黒に近い色合いに染め上げられています。これは、闇に溶け込みやすくするための工夫です。昔は電灯がなく、夜になると蝋燭や松明といった光量の限られる照明に頼らざるをえなかったのです。なので、光を吸収しやすい黒に近い色合いで染められた忍び装束は、絶好のステルス衣装であったのです。

動きやすい構造

忍び装束は、当時の侍たちの服装と比べて飾り気が少ないのが見て取れます。裃や袴などの正装や羽織などの普段着の和装などと比べるとその違いは一目瞭然です。身体にフィットする上着やズボンは現代的なスポーツウェアに通じる機能性を持っています。風よりも早く走り、鳥のように高く跳ぶといわれた忍者にとっては侍や町人のような服装は、運動性を阻害するだけのものでしかないのです。

顔や姿をわからなくする効果

忍び装束や頭巾には、忍者の正体を隠す効果があります。例えば、ある城に潜入して機密情報を奪取する任務を帯びた忍者がいます。首尾よく機密情報を入手して、警備に追われながらもどうにか脱出できました。しかし、本国に帰るための関所では検問が行われ潜入したときの警備兵がいたとします。この時、忍者が頭巾も忍び装束も身に付けずに潜入していたらたちまちお縄になってしまいます。こういった場合、顔や体格を隠すことの出来る頭巾や忍び装束は忍者の必需品なのです。

鎖帷子の効能

忍び装束の下に着るとされている鎖帷子は、その名の通り金属製の鎖を編んで服のようにした防具です。一定間隔で編み上げられた鎖帷子は切りつけて来る刃物を防ぐ効果があり、現代でも防刃着に使用されています。武士のように鎧兜を身に付けていけるわけではない忍者にとって、鎖帷子は必要最低限の防具として考えられていたようです。しかし、歴史家の研究では防刃効果を持つ鎖帷子は、鉄などの強度と重量のある金属を使っていなければならないこと、鎖帷子を服のように編むとそれだけで10kg以上の重量になってとても忍者の任務に着て行けるようなものではないことが判っています。その為、フィクション上の忍者は網目が大きめの鎖帷子を身に付けている描写があります。

忍び装束以外の忍者の服装

現代では忍び装束は、潜入を必要とする任務の時だけ身に付けるものと考えられています。では、潜入任務以外の時の忍者はどのような服装をしていたのでしょうか?

木を隠すのなら森の中へ

民衆の生活の中で、一番目立つことは「周りと違った格好をすること」です。忍者が活躍した戦国時代から江戸時代においてもそれは顕著です。忍者は、目立たぬような振る舞いをするだけでなく周囲に溶け込む努力をしなければなりません。その為に、忍び装束とは別の衣装を着こなしていたのです。

虚無僧スタイル

時代劇などでよく見かける、頭にすっぽりと籠状の編み笠をかぶり袈裟姿で尺八を吹いて回る虚無僧は、忍者にとって格好のカモフラージュであったと言えます。虚無僧は元々禅宗の普化宗に属する僧侶ですが、お経を唱えたりはせず尺八を吹いて托鉢を行うという変わった存在です。しかし、珍しくはあるものの町の風景に溶け込める性質を持っているので監視などにはもってこいであったのです。

薬売り・行商人スタイル

諸国を回って常備薬を売る「越中の薬売り」は現代にも受け継がれている有名な存在ですが、薬売りは忍者の隠れ蓑であったと言われています。現代の富山は加賀百万石を治める前田家の領地に含まれており、前田家が擁する忍者集団「偸組」は全国の情勢を知るべく薬売りとして諸国に散らばっていたのです。また、魚や野菜を天秤棒で担いで売る行商人も忍者がよく扮していたと言われています。輸送手段が発達していなかった昔は、行商人が食糧輸送を引き受けていたからこそ出来た変装であると言えます。

山伏スタイル

歌舞伎「勧進帳」で源義経一行が扮装していた山伏は、国境に作られた関所を越えるためにうってつけのカモフラージュといえます。山伏は修行のためなら各地の霊験あらたかな山を目指していても不思議ではないのです。忍者も、遠国に向かう場合山伏などに扮して関所を越えていたのです。

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